本研究は、東京電力福島第一原子力発電所事故により、住民が長期避難を強いられた福島県双葉町と大熊町を主にとりあげる。2021年4月現在、両自治体は一部町民の帰還がようやくはじまった/はじまろうとしている局面にある。とはいえ、長期にわたる避難生活により、両町の「町民」意識や「共同性」は複雑化している。
また様々な要因により「町民」の「復興」への関与も容易でない。本研究では地域社会学の立場から、帰還局面における、両自治体の帰還と「復興」を巡る課題、とくに「町民」と「復興」との関わりについて、「共同性」を鍵概念として実証的に明らかにする。