舌や唇、口蓋の形状異常や運動能力の問題、難聴、知的発達の遅れなどさまざまな原因のために発音がうまくできなくなります。海外では、家庭の経済状況や家庭環境なども発音の発達に影響を及ぼすと考えられていますが、一般的にはさまざまな要因が複合的に絡み合って障害として現れているという見方が一般的となっています。東北文化学園大学が運営する国見の杜クリニックにも構音障害の疑いがある子どもが来院することがよくあるそう。「私も言語聴覚士の立場として発音や発達の検査などを行い、発音するときの言葉の誤り方からどのように舌や唇が誤って動いているのかを精査し、全般的な発達との関連を考慮しながら、訓練を行うかどうか検討しています」。そう言って中村先生が見せてくれたのは、さまざまなイラストが描かれた紙と、構音検査に使用するEPG(エレクトロパラトグラフィ)と呼ばれる機械。「子どもにイラストを見せ、何が描かれているかを当ててもらうことで、言葉の発達が順調かどうかを判断します。機械の方は、歯科医師が治療で患者さんの歯の型をとるように、一人ひとりの口蓋に合わせて作られた電極を上顎に装着し、舌と口蓋の接触状況から発音の状態を確かめられるようになっています」。
調音動態を測定するための生理学的検査機器(EPG)
電極を配置した人工口蓋床を装着し、舌と電極が接触すると信号検出器が反応するしくみ